平屋の最大の魅力は、暮らしやすさと開放感です。生活空間がワンフロアにまとまり、上下階への移動がないため、家の中の移動が楽で、家事動線もシンプルになります。また、天井を高くしたり、勾配屋根をそのまま見せたりと上下方向に大きな空間を作ることが可能です。さらに、階段がないため余計な廊下やドアが不要となり、横方向にも大きな広がりを出すことができます。平屋の最大の魅力はこの大きな空間が生み出す開放感です。上下階の移動のないバリアフリーの住まいは、子どものいる家庭や、シニア世代にとって開放的で安全な住まいなのです。
一般的に、建物は重心が低いほど地震に強いと言われています。
平屋は2階建てに比べて重心が低く、建物の重量も軽いため、耐震性が高いという特徴があります。
また面積が広く高さが低いため、台風など風の影響も受けにくく、万一の火災などでもサッと逃げやすいというメリットもあります。
平屋には土地の制限を考慮しないと理想の家は難しいことに注意!
建ぺい率とは、『敷地面積(建物を建てる土地の面積)に対する建築面積(建物を真上から見たときの面積)の割合』のことを言います。
例えば100㎡の土地に建築面積50㎡の建物を建てる場合、建ぺい率は50%となります。
■建ぺい率50%のイメージ(真上から見た図)
容積率とは、「敷地面積に対する延床面積(各階の床面積の合計)のことを言います。
例えば、100㎡の土地に延床面積100㎡(各階50㎡)の建物を建てる場合、容積率は100%となります。
■容積率100%のイメージ(横から見た図)
この建ぺい率/容積率は、土地の適正利用の観点から法令で制限がかけられています。
例えば、低層住宅(2階建以下)を中心とした住宅地であれば建ぺい率は30~50%、容積率は80〜100%以内、中高層住宅を中心としたエリアであれば建ぺい率は50~60%、容積率は150〜200%以内などのように、低層住宅地であるほど制限が厳しくなっています。
なぜなら、低層住宅は、周囲に建物があると日照が確保できないため、より敷地に余裕をもって建てることが求められるわけです。
仮に建ぺい率50%/容積率100%のエリアに、100㎡の土地を購入したとすると、建ぺい率の制限で建築面積は50㎡以内となります(100㎡×50%=50㎡)。
この場合、建物が平屋ならば延床面積は50㎡(50㎡×1階)が上限となりますが、2階建ならば100㎡(50㎡×2階)までの広さが確保できます。
地価の高いエリアで2階建て以上が選ばれるのはこのためで、結果として平屋が少なくなる要因となっています。
土地購入を検討する際、気になる土地が見つかったら、そのエリアの建ぺい率から、平屋でどのくらいの広さの建物が建てられるのかを確認してみるとよいでしょう。
建ぺい率は市区町村などのホームページでも調べることができますし私達にご相談ください。
③建築費
3つ目の要因としては、建築費が挙げられます。平屋住宅は、2階、3階建と比べて材料が少なく手間もかからない分、費用も安いと思われがちですが、実はそうではありません。
もちろん間取り次第ではありますが、平屋の場合は1階面積=延床面積となるため、
基礎部分(建物と地盤をつなぐ重要な部分)の面積が2階建よりも大きくなりがちで、建築費は割高になる傾向があります。
また、同様に屋根の面積も大きくなる場合が多く、凝ったデザインや屋根材等を使うと費用がかさむことがあります。
結果的に延床面積あたりの単価(いわゆる坪単価)で比較すると平屋の方が割高に見えることもあり、2階建が選ばれることが多くなります。
土地価格や法令制限は、早めにプロに確認しよう
このように、一見すると2階・3階建住宅よりもシンプルで身近に感じられる平屋住宅ですが、実はよくよく検討していくと「やっぱり2階建てか」「平屋は無理かな」とあきらめてしまう方も数多くいらっしゃいます。
もちろん、住まいの選択肢は平屋だけではありませんし、最終的にご家族にあった理想の住まいが建てられればベストなのですが、ポイントとなる土地の相場や法令上の制限などは事前にしっかり調べておくことをおすすめします。
自分で調べるのが大変だという方は、早い段階でプロに相談してみるとよいでしょう。